2014年6月27日金曜日

ナカヤ式射的銃取扱上ノ参考。

H25 5/6 追加関連記事あり。ここをクリック。

突然ですが、射的銃を買いました。東京で射的銃を専門に作られてる会社、ナカヤの製品です。昨年からエアライフルのカスタムに熱中してましたが、カスタム用の銃床をナカヤさんのネット通販で買った時に、この銃の存在を知りました。
 全長約74センチ。重さは1・3kgぐらい。見た目より重いです。ボルトアクション先込め式単発銃。基本原理は子供の頃に作った空気銃と同じです。

エアライフル用のカスタムストックを作られてるくらいですから、銃床もきちんと加工されてて、デザインも本物すぎず、玩具すぎずで趣があります。
 類似商品にご注意下さい、という事で、本物の証、NKAYAのロゴが美しく誇らしい。メイド イン ジャパン。
 銃口からピストン軸のボルト先端が見えてます。その奥にナットで固定された皮製のパッドが付いていて、前進するピストンとパッドで圧縮された空気が、コルクを撃ち出す理屈です。
 弾となるコルク。コルク弾を装填した銃口。大体、半分から三分の二くらいまで押し込みます。
 発射準備前の状態。
 ボルトを引くとピストンがカチッと音を立ててロックされ、ボルトレバーのみスプリングの力で前に戻ります。見えてるバネがボルトを押し戻すスプリング。
早速分解。銃身本体はこれ以上無いくらい単純な構造。銃身全体がシリンダーの役割になってる。
あっという間にバラバラ。玩具ですが、基本構造は実銃と変わりません。
(追加記事)シリンダー内のボルト先端に付いた革パット3枚をナットで固定してあります。このパットが前進、空気を圧縮して、コルクを飛ばします。グリスが塗られているので、空気漏れは無いようです。逆に、弾の飛びの悪い時は、ここにグリスを塗ると良いだろう。革パットは注文すれば別売りで購入出来るようです。
取り扱い説明書。弾込めはボルトレバーを引いてピストンを発射準備位置に固定してから、弾を銃口に詰めるとある。

このイラストでは左手で銃身握って操作してますが、本来は銃床の胴の部分を持ってすべきでしょう。ただし、手の小さな子供の使用が大前提であれば、銃身握るほうが操作し易いのかも、しれない。

また、弾を詰めるのがレバー引いた後になってますが、拳銃の撃鉄起こしてから弾をこめるような、順序が逆のような違和感を持った。銃口を覗きながら弾を詰めたりしてる途中に、暴発する可能性が無いとはいえない。

ただしこれも考え様だ。発射スプリングの反発力が結構強いので、子供の力で引こうとすると、反発力に負けて勝手に発射状態になる畏れは充分ある。その時に銃口に弾が詰められていたら、あらぬ方向に発射されて危険である。

子供の使用をメインに考えれば、弾は最後に詰めるのが正解だろう。だからこの説明書は正しいと判断した。
しかし私は大人なので、始めに弾を詰めて撃つ事にする。銃床を腹にあてて、銃口は目標に向け、「銃口正面」「コルク弾 一発 弾詰め」「弾詰めよし」。
銃口そのままに、ボルトを引いて「射撃準備」。ボルトの戻りを確認して「準備よし」。
銃本体に安全装置は無い。ので心の安全装置を解除。「射撃用意」で銃を構えて。
「うて!」バン!とウルサイくらいに、空気の炸裂する音がします。ピストン軸の金属パーツが前進してボルト基部にぶつかり、ギンッ!といった音と振動が伝わります。

いいです・・・なかなかいいです。何せ、オールスチールにウッドストックの組み合わせですから、これは本物です。モデルガンでもエアガンでもありません。本物の射的銃です。
本物を味わう大人の時間。ああ、こういう満足感があったのか・・・。

で、射撃性能はどうか。

最大射程距離は約8メートル。有効射程距離は約4メートル。実用射程距離は約1・5メートル、といった所です。

なにしろ、真っすぐに飛ぶ事など滅多にありません。平均で3メートルくらい直進したあと、急に上下左右どちらかに激しくカーブします。

45度の仰角とって撃てば、最大で8メートルくらい。
50センチ四方の的に5発に1発くらいの割合で当てようと思えば、4メートル以内で。
15センチ四方の的に5発に1発の割合で当てようと思えば、1・5メートルより近く構えなければ当たらない、という印象です。(射的の屋台の一例では1回5発で、的までの距離は写真で見る感じ2メートル前後。つまり、射的にはちょうどいい性能という事です。)

とにかく、バラバラです。同じ弾使っても弾道はバラバラです。基本的に当たらない、と考えた方が良い。だが時々は当たりますし、当たる、当たらないには理由がある筈です。

おそらく、弾となるコルクの成形の具合や弾を詰め込む時の詰め込み具合、摩擦、などでしょう。その諸問題を少しでも改善してやれば、少しは射撃性能も向上するはずですが、その辺は今後の研究課題です。

個人的な目標は、4メートル前後の距離で15センチ四方の的に3発に1発程度で当てられる程度の命中率です。
写真上のエアライフルは同じナカヤ製の銃床を、私の好みに削って色も塗り替えたカスタム銃。距離10メートル前後なら同一弾痕、20メートルなら直径4センチの円内に集弾します。

それに比べれば、射的銃は全く比べ物にならない性能ですけれど、どちらもそれぞれに、楽しめる事には変わりありません。一般的なエアライフルが屋内射撃用とすれば、射的銃は卓上射撃用、と表現するのが言い得て妙かもしれません。

コルク弾を加工して、射撃性能を向上させました。記事はここをクリック。

2014年6月26日木曜日

私の竜。

さあ心機一転、玩具作りを再開しましょうと思ってたら、販売を委託しているヒロヤさんから連絡が入った。

秋頃に、地元の百貨店で地元作家品の展示販売をされるそうで、私も作品出してみないか、と誘われたので前向きに検討中です。

あわせて、店内の展示用玩具を購入されたい方がいらっしゃるとの事で、諸々の相談と、もう随分長い間展示されてたので、諸々の痛み汚れがあり、ついでにその修繕を受ける事になった。
これは6〜7年前に作ったろうか。全長が30センチ以上ある(私の中では)大型の玩具。「竜の船」とかの名前つけたと思う。デザインは気に入ってるが、製作の手間がかかり、作品強度の心配もあり、あれから作っていない。が、こういうのも迫力があって良いかもしれない・・・と改めて思う。

表面的な汚れはスポンジペーパーで軽く研磨して落とす。塗装面の表面が薄く削られて、新しい塗装面が顔を出す。木のタイヤは傷や汚れが強かったので、全部作り直しました。

仕上げは液体ガラスを塗ったので、ツルツルした肌触りになってツヤも増した。
 この、竜の首の付け根にヒビが入っていたので、別部品を作って組み直した。これは構造的に予想されていた破損だった。今回組み直した部品は改良されて、強度はかなり増したと思う。

それでも、強度的に不安は残る。棚から落とすとどこか壊れる可能性は強い。もともと観賞用の玩具だけど玩具である以上、遊んでも壊れ難い事を目指したい。
強度を改良した竜の車。これも昔のデザインだけど、芯材と表面の化粧材の木目を直行させて貼り合わせて作り直した試作品。部品の厚みも増したので強度も更に増した。

この竜の車の玩具も、秋の展示販売会に出してみようと思っています。竜が好きって訳では無いけれど、空想の動物としてはデザインし易いし、受け入れられ易いですね。ちなみに私の竜は皆、草食です。

2014年6月22日日曜日

自画自賛。

工房の片隅に転がしてた新旧の作品を手元に集めて、改めて眺めてみると、私の作品もまんざら捨てた物ではないな、なんて自画自賛してみたりする。

随分と玩具作りを休んでた気がしますが、新しいデザインは考え続けてました。依頼の仕事もようよう終わったので、ヤマドリ玩具の世界をまた広げてみようかと思う。

2014年6月21日土曜日

一世紀を偽って。

依頼されてた木のパーツが完成しました。上の木のカバーを作りました。図鑑の写真と同じように出来たと思います。色は、本体の色に合わせてあります。歳月と保管の環境が木部の色を焦げ茶色に変色させてます。
 材はオニグルミです。どの時代にも基本的にクルミ系の材が使われています。当時は沢山あったのでしょうね。実物の塗装の多くは漆が使われたと思いますが、他にも何か塗られてたかもしれません。
下地に油性ステインで焦げ茶を薄く塗ってから、人工漆(カシュー)を塗り重ねました。カシュー塗っただけでは、ツヤツヤしすぎるので磨きます。書きませんが、磨きにはコツがあります。
アクリルの黒を使って、油で木が劣化した黒い部分も再現して、下の本物と雰囲気を合わせてやりました。
パーツの結合はこのようになってます。本来は2カ所で板金で挟み込むようになって、固定される(筈)。実物はこの板金がもっと伸びてる筈です。これは薄いアルミの板で作ったので、あまり固定の役には立ちませんから、小さなネオジウム磁石を埋め込んでお茶を濁してます。
折角なので、明治の遺物をそれぞれ一緒に並べて比較してみました。設計者や細かい仕組みは違いますが、全体のスタイルは良く似てます。床尾底板の作りなどは双子のようです。
大きく違う銃口。右8ミリと左6・5ミリの違い。右の方は二つも銃口があるみたいで、何だか強そうですが、大きい方の筒は銃弾が入るチューブになっている。このチューブに何発か弾を込められるので、続けて撃てますが、基本はナウシカの銃のように一発ずつ込めて撃つらしい。その辺が、何とも魅力ではあるけれど、どうでもいい人にはどうでもいい所です。

自分が狩猟民として深い森の中で暮らすとしたら、右側の無骨なほうを選んで身に付けたいです。

2014年6月20日金曜日

板杼の製作。

妻の糸紡ぎ仲間からの依頼で、紡ぎの道具を良く作るようになりました。幾ばかりかのお金も頂けますが、皆様からは喜んでいただけてるそうで、それが何より励みになります。

もっとも、既製品を買った方が安いし、早いんですが、既製品にはないサイズのオーダーと仕上がり感、使い勝手の工夫などが好評のようです。趣味の物ですから、値段より満足感が優先されるようです。

木工品製作の需要も色々あるようです。玩具作るよりこっちのほうが売れてます・・・。
 ブラックチェリーで板杼(いたひ)を作ってます。板杼の注文はこれで3回目。だいぶん馴れてきました。ドラムサンダーで四面テーパーかけて削ってから、端に欠き込み入れる。
 仕上げ作業は自作の横軸ドラムサンダーで。番手を3回くらい変えて仕上げ削り。小物作りにはこの横軸ドラムサンダーが大活躍します。とても単純な機械ですが、既製品となるとどこにも見当たりません。
320番で研磨したところ。もう一回、600番手で研磨してから、液体ガラス塗って仕上げると、艶も出てツルツルになります。

一部除けば、もう1年近く玩具の新作も作ってませんが、そろそろ本来の玩具製作に移行しようという、意思と予定は・・・あります。

2014年6月14日土曜日

一世紀を超えて。

この数ヶ月、妻や友人の依頼の工作に励んでいます。今は下の写真のような骨董品のレストアを友人から依頼されてます。

これまでに続けて幾つかの貴重な品を直しましたが、これは特に珍しいので、ついブログでお披露目。
明治維新後の新政府が二番目に制式化したもので、名前は有名ですが、生産数自体が少なかった事もあり、国内外での確認されてる現存数は「極めて」少ないそうな。

これは残念ながら(当然ながら)無可動処理された骨董品。射てませんが、保存状態はかなり良いのでは、ないでしょうか。
 わざわざ本体に「明治二十二年制定」と刻印されてます。コウカンの、かなり無骨なのがいい。
 図鑑のこういう写真を参考に、無くなっている、上の木のカバーを作ります。
まさか、自分がこれに直接触れるとは、思わなかった。こんな風に構えて狙えるなんて思わなかった。これは先の方が重くて、他の物に比べて構え難い物ですが、開発過渡期の物であり、用法も今とは異なりますから、そういった事も含めて今とは違った視点で、当時の実情を鑑みて総合評価するのが、この世界の嗜みでは、ある。