2014年5月10日土曜日

博物館な日常。

 友人の依頼で、こういう骨董品をレストア中です。表面の塗装を剥がして塗り直します。オリジナルは漆のようですが、今風のステイン着色してから、カシューで仕上げようと思います。

上の物は私の個人所蔵。これを参考に色を付けて仕上げる。もちろん、どちらも本物ですが機関部は溶接、切削してあって全く使えない古美術品扱いです。

分解してみると、案外構造が単純なのが解りますが、これは特に(良い意味で)単純なほうです。でも部品整形は手が込んでるほうでしょう。

戦後、中国軍が接収して更に自国で使った、その生き残りが逆輸入された物ですから、木部は相当傷が入ってます。
 木製部の内側。普通は中々見られない所です。半世紀以上経ってますから、かなり木部が劣化してますし、整備の機械油が全体に染み込んで、しっとりしてますので、ペーパーで磨いても粉が舞うことなく、ダマになります。
 有名な紋と式名が刻印されてます。手に取ると、田舎の山仕事してるお爺さんの、逞しい腕を掴んでる感じがします。
滑り止めのチェッカリングが入った安全装置部。丁寧な作りですね。溶接されて動かせないようになってます。木部は割れが入っていて、痛々しいがこれはもう直せない。気がつかないふりをしてます。