2016年1月26日火曜日

ボール盤バイスの大中小

 ホームセンターでも売られてる廉価版でミニサイズのクイックバイス。口板を取り付けてからは使い勝手が良くなって、小物の加工用に使ってます。
 例えばこんなサイズの材の穴あけ加工など、手で持ってても出来ますが、何かの拍子に手から離れて材がドリルごと高速回転する時がある。そうなると当然、手を怪我したり、火傷したりする。

私がこれまで経験した怪我の原因の一番が、小物材の穴あけ加工に由来してる。ので、出来るだけバイスを使うように心がけてます。
 その時に、このバイスが丁度良いサイズと軽さなので、重宝してます。このサイズならバイスごと手で保持してやれば、安全に加工出来る。
 ところが最近、安さ故のお約束か、ネジを噛んでる金属歯がすり減って空転し、ネジが効かなくなった。こうなると使えない。買い直そうかと思ったが、他のパーツは使えるし、また口板加工するのも面倒なので、すり減ったパーツを木で作り直してみた。

元の材はアルミか亜鉛の柔らかな合金製。高価なドラムサンダーのネジもそうだったが、一番肝心な所に決まって摩耗しやすい材が使われているのは、何故か?
 自作の材はブナの丸棒。旋盤でサイズに削り、カッターとのこぎりと彫刻刀なんかでコツコツ削ったら、何とか同じような物が出来た。仕上げは椿油を染み込ませて滑りを良くした。もしかしたら、オリジナルの合金より摩耗に強いかもしれない。

組んでみると上手く収まった。あまりキツくネジを締めないほうが、良いかもしれないが、実用に問題はなさそうだ。
 修理終わったミニクイックバイスとオフコ社で買ったクイックバイス。これは取っ手のプラハンドルを外し、鉄のハンドル軸を半分に切ってある(邪魔だったので)。こちらはやや重く大きいので、片手で取り扱うのは少し不便ですが、固定する力はミニバイスより強く安定してます。ボール盤テーブルに直接固定して使うのに適した物です。
こちらは重量がある鉄製バイス。オフコさんで買ったスライドバイスのパーツを使って自作した物で精密作業、重作業用。このようにバイスを大中小(重〜軽)と揃えておくと、便利ですね。

2016年1月20日水曜日

錆びる油

以前に自転車やバイク関連の記事で、防錆にCRCを使うのは良くない、という記事を読んでふと、思い出したというか合点がいった事があった。

自衛隊での銃手入れでは、二種類の油を使ってますが、一つは青いキャップの付いた容器に入った透明な洗浄油。もう一つは赤いキャップの容器に入ったグリス風の手入れ油です。
分解後に、射撃の火薬の煤などを洗浄油付けたウエスや真鍮ブラシで拭き取り、綺麗になった部品に手入れ油を塗り付けたあと、組み立てます。

この、洗浄油が一体何なのかが、昔から謎でした。手入れ油は色や臭いからグリースの一種なのは解りましたが、洗浄油は解りません。「手入れ油を使わずに洗浄油だけで手入れすると錆びるから、必ず最後に手入れ油を塗るように」と教育されましたが、油使って手入れするのに錆びるのは何故?と疑問に感じた物でした。

 その長年の疑問の答えが、CRCの記事でようやく解けました。おそらく、ですが、自衛隊で使ってた洗浄油の成分は、CRCの潤滑油と同じものだったのでしょう。CRCもまた、塗布したままの金属面が錆びてしまう性質があるそうです。
 詳しい事は(面倒なので)書きませんが、金属に付着した汚れやグリースを溶かした後は、CRC自体は揮発してしまう為に、水分を呼び易くしてしまうそうな。なので、自転車などの金属面やチェーンにCRCを使ったまま、グリスを塗らずに放置しておくと余計に錆びてしまうらしい。

つまり、CRCは油汚れの洗浄には最適だけど、防さび剤として使うには注意が必要である、という事だ。
 なので、2年くらい前から機械や工具の仕上げ手入れには、CRCを使わないようにしている。刃物には椿油が安心だし、機械にはミシンオイルかグリース系の物を使っている。
 シリコンは滑りを良くするのに使ってますが、これも部隊での思い出がある。火砲の部品の擦り合わせ部分に、シリコンスプレーを友人が吹き付けた所、すぐに上官に叱られた。

部品同士の滑りが良すぎると、却って射撃精度が落ちるとの事だった。こういう物は、気軽に何にでも吹き付けてしまいがちですが、ちゃんと剤の性質と用法を知る事が大事ですね。
ついでの記事。冬の寒い工房で暖房も使えない環境で作業するのに、安物のヤッケや合羽を着てると便利です。暖かいし、木屑など付着しにくいし、油や塗料などが付着しても惜しくありません。下に電熱服など着てればさらに暖かいです。

格好は悪いですが、この便利さと暖かさはもう捨てられません。