ところで、連隊が作戦行動を開始すると、連隊長も流石にルル親方の相手をしている暇も無く、むしろ鳥の手(翼)も借りたい程の忙しさともなれば、親方の飛行能力に眼をつけない筈も無い。
で、親方には、伝書鳥の任務が与えられた。そこで、正式に軍務に就く以上、兵隊として扱わねばならぬとて、いきなり一等兵の階級を与えられたそうだ。一等兵と云っても、下から二番目くらいの兵卒にすぎないけれど、軍から階級を与えられたトリは、たぶんルル親方が始めてではなかろうか。
重要書類を持って、飛行任務に就くなら、通常は将校以上でないとイケナイんだけれど、連隊長の肝煎りとあって、誰も文句は云わなかったらしいし、何せ親方はトリだから、軍も大目に見てくれたのかもしれない。
運搬中に脱落しないようにと、紐の沢山付いた特製の極秘書類カバンが、どうにも邪魔だったらしいが、これは外す訳にはいかない。それでも、ルル親方には任務に就く際の楽しみが、一つあった。
航空機部品の調達で、航空隊にちゃっかり貸しを作ってた親方は、仲良くなった操縦士から、航空眼鏡を借りて飛んでいたのだけれど、これがルル親方の、大のお気に入りだったらしい。
もともと、親方には必要無い物だけど、本人はこれがイケテルと、思ってたようだ。
親方の、飛行任務中の冒険談は、次回。
0 件のコメント:
コメントを投稿