2010年12月12日日曜日

貴州省のミャオ族

「ロウケチ染め」で、検索してみれば、「もしかしてロウケツ染めでは?」なんて有難いご指摘が、検索画面に表示されましたが、たぶん、どちらも正解のようですが、ロウケチ表記は少数派みたいだ。ロウケチのほうが、古い云い方かもしれないのですが、今後は一般的な「ロウケツ染め」で、表記します。
 とは云え、今回の衣装は、ロウケツ染めではありません。藍染めと刺繍の組み合わせです。これもミャオ(苗)族のプリーツスカート。

中国のミャオ族でも、一つの省に固まって住んでいる訳でなく、主に雲南省や貴州省を中心とした中国南部(揚子江以南)、それからタイやベトナムとの国境付近の山岳部に住んでいます。同じ民族ながら、タイではミャオ族は、モン族と呼ばれています。まさに、流浪の民族ですね。

で、このスカートのミャオ族は、資料で調べる限りでは、貴州省黄平県に住む黄平ミャオの衣装です。住む地域によって、同じミャオ族でも、刺繍の様子や柄、服の形、銀飾りなどに違いが見られます。ただ、あまり細かい事は、ここではどうでも良い事ですね。

写真のスカートは、先の物とは違って、腰回りを現代風に仕立て直してあります。これは販売の際に、売れ易くする為の加工です。私としては、オリジナルの形が重要なのですが、売る側の都合もあるのでしょう。

これはまだ、ましなほうで、刺繍の所だけ切り取って、飾り布になって売られるのが大半です。衣装の価値でなく、刺繍の価値だけに需要が偏ってるのは、残念です。
 写真がちょっと、ボケてますが、スカートの刺繍が細密なのが、お解りでしょうか。
この金色は、金色にあらず。驚くべき事に、濃縮された藍色が金色に光って見えるのです!
濃い墨汁など、金色に光って見える時がありますが、ああいう感じだと思います。
その証拠に、この衣装を触ると、指先が藍色に染まって、青紫になります。中国の藍と日本の藍は、組成が幾分違うようで、中国のほうが野性的です。
こちらは、同じ黄平ミャオの上着を背中から見た所。ミャオ族に限らず、古今東西の民族衣装は、背中に多く刺繍が施されていますが、縫製の関係でしょうね。前見頃は両側に開くので、刺繍がしにくいけれど、後ろは繋がった生地が広いキャンバスになります。
刺繍のアップ。これを、何の参考図案も無く、歩きながら、お喋りしながら、ただ黙々と刺繍して行くのです。これが驚愕せずに、いられましょうか!しかも、特別な刺繍作家という訳でもなく、村の女性はほぼ、皆がこういった刺繍をするようです。
上着の正面。生涯に何着か、こういった着物を各自作っていくそうです。これはたぶん、お祭りの時に着る衣装と思いますが、一番手間を掛けたのが、自分の花嫁衣装になったり、親になっては、子供の衣装を作ったりと、一生刺繍と共に生き続けるようです。

或は、刺繍の所だけほどいて、新しく縫製し直す事もあるようで、親から子へ伝える刺繍も有る事でしょう。その為か、刺繍以外の部分の生地の安っぽさが、妙にアンバランスに思えますが、ミャオの人達からすれば、違和感は無いのでしょうし、むしろそういう所が、刺繍の凄さの割に、嫌らしい派手さを感じない要因かもしれません。

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