2010年12月13日月曜日

ミャオの龍

ここぞとばかりに、もう少し続きます、民族衣装。
 これはおそらく、貴州省の凱里県のミャオ族の衣装。刺繍の柄と技法などから、文献の写真と照らし合わせて判断。刺繍が付いている他は、きらびやかさが無いので、普段着だと思います。

これが普段着とな!と、思われる方もいらっしゃるでしょうが、そうなんです。普段着です。これで農作業から家事から育児まで、こなしていらっしゃるようです。

とは云え、今はどこも、かなり文明化が進んでいて、多くの地域では、刺繍でなく、化繊のプリントが使われてたりもします。刺繍であっても、簡易な図案になってたり、刺繍をする女の子自体も、激減してるようです。電気が入ると、良くも悪くも、暮らしの様相が変わるのは何処も同じです。
 普段着の後ろ姿。普段は、ズボンを履いている地域も多いようですが、スカートのままの地域もあるようで、詳しい事は解りませんが、山岳地ほど、スカートが多いような「気が」します。もっとも、山を降りて街に買い物に行くと、街の男の子に、短いスカートをからかわれて、恥ずかしいなんて、記事も読んだ事もあり、文明化だけでなく、いろんな事情でスカートは廃れていくと思います。
普段着の裏地。木綿に藍染めの生地で、これといって、どうって事ないですが、どうって事ない事が、驚きです。
どうって事ない日本の、木綿に藍染めの、野良着。まぁなんと、派手好きな兄と、地味で真面目な弟みたいな(笑)間柄では、ありませんか。藍染めの服飾文化と云う点では、非常に親近感が湧きますね。 

仕立て方は、日本の野良着のほうが、反物の幅なりの、杓子定規な仕立てなので、きっちり畳めるのに比べ、ミャオの衣装は、分厚い刺繍が付く分、ややワイルドさがあって、きっちり畳めません。
 襟の部分の刺繍。こういう刺繍は後付けなので、パーツ毎に取り外せるようになってます。服の生地が傷めば、新しく作って、刺繍だけお引っ越し、という寸法です。
 袖の刺繍のアップ。ニワトリでしょうかね。このシボシボが付いて、浮かんで見える刺繍の技法が特徴的です。名前の付いた技法ですが、詳しい事は省略!(私も良く解らん)
 ミャオの龍には、歯がありません。刺繍だから、無いんでしょうが、それが逆に好きだったりする。

こういうデザインの民族衣装は、中国の少数民族に限らず、ロシアの北方や、北欧などにも存在します。刺繍という事では、背中(肩)と袖に柄が集中する共通点は、袖を持つ衣装なら、自然の成り行きではあるけれど、何処か起源となる文明でもあるような、気を起こさせます。

もし、有るとすれば、マケドニアのアレクサンダー大王が運んだ、地中海地方の文明だったかも、しれませんね。

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