2010年12月16日木曜日

ヤオ族のモンペ

今日の衣装は、広西省のヤオ族の上着。持ってませんが、下は黒のスカートに上着の腰当たりで、幅広の布帯を巻き付けます。これがヤオ族の代表的な衣装という訳ではなく、ヤオ族もまた、地域によって多様なデザインがあります。

その中で共通してるのは、黒い生地を好む事、刺繍の技法にクロスステッチを多用する事、などです。クロスステッチで構成された刺繍は、柄が違っても、ヤオの風合いを感じさせてくれます。
 上着の背中の刺繍。ウルトラセブンのような襟のデザインが特徴的。裾の部分には、細かな金物を縫い付けてます。左端の刺繍の切れ目に、化繊のプリント生地を無造作に、貼り付けてるあたりが、大らかです。西陣織の着物の襟に、Tシャツの切れ端を貼付けるような、感覚でしょうか。自分で刺繍して、自分で着るからこその、大らかさですね。
 背中の刺繍のアップ。この柄は、何でしょうね。馬のような4本足に、翼もあって、もしやペガサス?
 生地の裏側。裏地が無く、刺繍の裏側が見れます。詳しい方は、これで技法が推測出来るんじゃあ、ないでしょうか。
 こちらは、タイの山岳地に移住したヤオ族の衣装。タイのヤオ族は今や、タイを代表する少数民族で、テレビ番組でも度々紹介されてます。タイを旅行された方など、ご覧になった事もあるのではないでしょうか。

襟飾りの、赤いボンボンが何とも派手ですが、黒を基調としてるところなど、中国のヤオ族の面影が残ってます。中国では生地は木綿が中心ですが、タイではこのように、化繊が中心です。
 タイのヤオ族のパンツ。通称「ヤオパン」。この刺繍の柄は、中国、タイ共に共通しています。中国ではこの刺繍を、上着の襟に縫い付けてますが、タイではこのように、ズボンに縫い付けてます。上着とズボンの違いはあっても、時と場所を超えて、同じ民族としてのアイデンティティを、この刺繍によって受け継いでるのが、凄いです。
 ズボンの刺繍のアップ。全てクロスステッチで構成されてます。ピンクに見える糸は、赤い糸の染料が、白糸に色移りしたもの。こういう所は、無頓着のようですが、辺境の山奥に住んでるのですから、糸を選べないなら、仕方ないかもしれません。
先のミャオの衣装も、色とりどりの古い刺繍の上から、藍色で染め直して、全面グレーにしてたりします。
さて、こちらは何族?・・・ヤマト族でしょうか。日本の民族衣装、モンペです。紐締めで袴式の古風なモンペ。今時、中々ありません。私もこの古着一つしか、持ってません。

実は、ちょっと恥ずかしいですが、大分前にモンペの収集を試みた事が、あります。で、一人で「モンペの会」なんて作って、自分で自分用のモンペと野良着作って、東京は池袋を歩いた事も、ありました。もう、今は絶対出来ませんが、その時はモンペに憑かれてたようです。

ところで、モンペのルーツの一つに、山の民俗の山袴が考えられますが、ズボン状の股の所に、大きなマチを付けるのが、山の仕事着の特徴ですが、これは中国やタイ、東南アジア全般の山岳民族の衣装に、共通してみられる仕立てです。面白いですね。マチの布の面積は、南に行く程、やたらと大きくなるようです。

私が、野良着を日本の民族衣装と捉えるのは、こういう類似点で括られる、服飾文化だから、です。

・・・衣装の話し、もうちょっと、続けたいです。

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