首周りの刺繍が可愛いですね。それにしても、この首周りの小さい事。二重あごなど考えられない、山の暮らしの厳しさが伺えます。
背中の刺繍が、特に素晴らしいですが、雲南省のハニ族の特徴的なデザインはむしろ、袖周りにボーダーに嵌め込んだ、白やオレンジや緑の布にあります。
藍染めの落ち着いた、重厚感のある蒼と、カラフルで可愛い、アニメキャラにも合いそうなカラーボーダー、伝統的なな職人技のような刺繍技術と、未来的でもある刺繍デザイン。私の中の理想の世界が、全て凝縮したような衣装です。こんな衣装を着た人々が、アジアに居るなんて、今でも信じられない。この藍色と仕立ては、「もののけ姫」の主人公、アシタカが住んでた、蝦夷の村の女達の衣装を、彷彿とさせます。
まるで機械で刺繍したかのような、幾何学模様の刺繍も、ハニ族の特徴です。
こちらは、ハニ族の女性の被り物。これをかぶったまま、農作業も家事もこなすようです。ビーズやらコインが沢山付いてて、中々重たい物です。まるで遊牧民のように、財産をコインや銀細工、ガラスビーズに換えて身に付けて、何時でも村を捨てて他所の土地に逃げられるように、しているかのようです。辛い民族の歴史が産んだ、飾りでしょうか。
ちなみに、宮崎駿氏の漫画、「風の谷のナウシカ」に出て来る蟲使い達の服装も、そういった遊牧民のスタイルが元になってるようで、服のあちこちに宝石が縫い込まれてますね。
フランスの古いコインが、飾りに縫い付けられてます。雲南省のすぐ南は、ベトナム国境なので、フランス統治時代のベトナムから国境越えて、銀細工の素材として、持ち込まれたりしたんでしょう。
こちらは、中国のハニ族自体が南下して、タイ国境を越えてタイの山岳部で暮らす、アカ族の衣装です。アカ族の衣装の装飾の特徴は、飾りに数珠の実を繋げてる事ですが、これはガラスビーズの代用だと思います。
出自が同じなので、雲南省のハニ族と、衣装デザインの基本は同じですが、生地の質感や染料が現代化してたり、安っぽかったりします。昔より更に過酷な環境に暮らしながら、出来る限り自分たちの民族の、伝統を受け継いだ衣装に近付けて伝承していったのでしょう。
日系移民が、現地の生地で着物を仕立てるような、感じだと思います。
これは、アカ族の子供用衣装一式。ハニ族も、アカ族も、足首に脚絆を巻くのが特徴的です。山岳民族故のスタイルですね。刺繍で一面覆われたバッグも、ハニ族、アカ族に共通です。このバックは、日本のアジア系雑貨店では、ポピュラーな商品の一つです。
せっかくなので、あと、もう少し、続きます。
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